麻雀のように牌やカードを使って役作り! 麻雀風ボードゲーム7選

中国発のトラディショナルな知的遊戯「麻雀」。現在も数多くのひとがプレイしており、プロの雀士によるプロリーグも存在するなど、日本でも非常に高い人気を誇っています。

「麻雀は最高のテーブルゲーム(ボードゲーム)」と表現するひともおり、広義な意味では麻雀もボードゲームの一種と見ることができるでしょう。麻雀のゲーム的な特徴はいくつかありますが、簡単にまとめると「専用の牌を使用」「自分の手番で牌を山から1つ引き、手の中で定められた役を作る」「上がりの形でなければ手の内を入れ替え、いらない牌をひとつ捨てる」といったところです。

これらの麻雀の特徴を取り入れた、言ってみれば「麻雀ライク」なボードゲーム、カードゲームがあることをご存知でしょうか。麻雀の良さを活かしつつ、ルールや役の概念を簡略化して分かりやすくしたり、プレイ人数に幅を持たせたりするなど、本家の麻雀と比べて遊びやすい部分もあります。

今回は、“麻雀風のゲーム”のなかから7つを選んでご紹介しましょう。

※五十音順に紹介しています。

九九ジャン

5枚の手札の数字を同じ九九の段の答えで揃える!九九の掛け算を活かしたお手軽知育ゲーム

4枚の手札を持ち、山札から1枚を引いて入れ替えながら、手札の数字を九九の同じ段の数字に揃えることを目指すゲームです。

特徴は、上がり役の概念を「九九の計算の答えを揃える」としていること。たとえば、三の段で揃えるのであれば、3、6、9、12~27までが該当するカードになり、このなかから5枚を揃えれば上がり。最後の1枚については、自分で引くほかに、他のプレイヤーが捨てた札をもらってくることも可能です。上がった場合は「九九ジャン!」とコールします。

九九の計算ならではの手の作り方もあり、例えば三の段であれば、6、12、18、24は六の段としても用いることができるので、あとから引いてくる札の数字によってはそちらに切り替えることも可能。さらに上記4枚を手札にできたなら、三の段と六の段のどちらの数字の札でも上がれることになります(麻雀でいうところの“待ちが広い”状態ですね)。相手の捨て札を見て欲しい札が減っているようなら狙いを切り替えたり、上記のように広い“待ち”を作ってみたり、とシンプルなルールながらも麻雀のテイストを存分に感じることができます。

販売元のジオゲームズは知育を取り入れたゲームを数多くリリースしているブランド。『九九ジャン』も九九の掛け算や、公倍数・公約数といった数字同士の関連性の知識について、遊びながら自然と身につけることができます。小学校低学年の子どもから大人まで、楽しみながら学べる一作です。

九九ジャン 概要】
メーカー:ジオゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:6歳~
プレイ時間:~30分

コンプレット

手牌を入れ替えつつすべての数字を昇順にする“数字並べゲーム”

1から100までの数字が書かれた正方形の木製タイルを使ってプレイする、数字並べのゲームです。

プレイヤーは22枚のタイルを持ち、このうち17枚を数字が見えないよう裏向きにして並べ、残り5枚を表向きにして列に入れます。表向きのタイルは列の好きな場所に入れていいのですが、数字が昇順(右にいくほど大きい)になるようにしなければなりません。余ったタイルは裏向きで場に置きます。

手番にできることは、場にある裏向きのタイルを1枚めくって自分の手のなかの裏向きのタイルと入れ替えることと、裏向きのタイルを好きな場所に移動させることのどちらか。これを繰り返し、最初に列の数字をすべて昇順に並べたひとが勝利となります。

このゲームのユニークなルールは、天地を入れ替えても成立する数字のタイルは、どちらで使ってもいいということ。たとえば「18」は天地逆にすると「81」になるので、18としても81としても使えるわけですね。

牌に似たタイルを並べるところと、タイルを1枚引いて手の内と交換するプロセスが麻雀のプレイ感に似ています。タイルの引きに左右されるため運の要素が強い部分がありますが、そのぶん経験や腕の差がでにくいので、誰でも楽しめるゲームでしょう。

コンプレット 概要】
メーカー:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

すずめ雀

6歳からOK、超簡略型の麻雀! 誰でも麻雀のプレイ感覚が味わえる

麻雀のプレイ感覚をボードゲームに落とし込んだ他の作品と違い、『すずめ雀』は麻雀と同じ牌を用いてプレイする簡略版の麻雀です。ただし、使用するのは麻雀牌の柄のうち「ソウズ」と呼ばれる竹の意匠の数字の牌と、文字が書かれた「字牌」の一部のみで、総数も3分の1程度となっています。

手の牌は5牌のみで、手番に牌をひとつ引いて手に加え、計6牌で定められた役を作れば上がり。最後の1牌は自分が引いてきても、手番以外のときに他人が捨てた牌をもらっても構いません。役は麻雀のものを非常に簡単にした『すずめ雀』独自のもので、基本的には同じ牌3つ、もしくは数字3つを順に並べた組み合わせを2つ作ればいいのですが、牌の色や数字の組み合わせ次第によっては大きなボーナス点が得られます。

ポイントとなるのは、ただ牌の組み合わせができているだけでは上がれないということ。役には点が設定されており、その合計が5点以上にならないと上がりが成立しないのです(麻雀でいうところの“リャンシ場の2翻縛り”の考え方に近いでしょうか)。基本点として同じ牌3つが2点、連番が1点で、いずれかをふたつ組み合わせても5点には達しないので、何らかのボーナス点を加える必要があります。これがジレンマとなり、麻雀の経験者でも簡単に上がり役が作れるというわけではありません。

『すずめ雀』は麻雀を極限までスリム化したゲームで、「何を残して何を捨てるか」「どの役を狙っていくか」といったプレイ感、醍醐味は麻雀とほぼ同じ。プレイ時間が短く、2~5人まで対応しているなど、気軽に遊べる点も大きなメリットです。超初心者向けの麻雀として、未経験者でも楽しくプレイできることでしょう。

すずめ雀 概要】
メーカー:すごろくや
プレイ人数:2~5人
対象年齢:6歳~
プレイ時間:約30~60分

でんしゃサウルス


※画像はイマジンゲームズのサイトより

みんな大好き恐竜&電車の夢のコラボ!カードの絵柄を揃えて上がりを狙おう!

9枚の手札の絵柄をすべてセットにすることを目指す絵合わせカードゲーム。1枚引いて1枚捨てながら手札を揃えていく手順は麻雀と同じですが、組み合わせるカードの枚数が絵柄によって決まっていることが特徴です。

カードには恐竜と電車の2種類。恐竜は肉食恐竜と草食恐竜、電車は通常の電車、蒸気機関車、新幹線があります。肉食恐竜は2枚、草食恐竜は3枚を組み合わせるとセットができます。電車は長さが決まっておらず、車両をつなげて長くすることが可能。例えば、草食恐竜3枚+電車6枚、といった組み合わせでも上がりの形となるのです。

また、絵柄を合わせるだけでなく、同じ色で揃えたり、長い電車を作ったりすると「役」ができてさらに得点をアップさせられます。早く上がるためにとにかく絵柄を揃えていくのか、高得点を狙って大きな役を作るのか。カラフルな恐竜&電車のアートワークと、場面ごとの判断が楽しいゲームです。

前作『でんしゃクジラ』もほぼ同じルールでプレイするゲームですが、『でんしゃサウルス』は役の種類や得点要素が増え、より戦略的になっています。『でんしゃクジラ』は6歳以上、『でんしゃサウルス』は8歳以上からのプレイが推奨です。

でんしゃサウルス 概要】
メーカー:イマジンゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:約20分

構築戦争【ビルドウォー】


※画像はRulemakerのサイト(note)より。

手札を整えながらデッキを構築、戦力が揃ったら戦争開始!トリガーを引くのは誰だ?

麻雀のプレイ感にTCG(トレーディングカードゲーム)のエッセンスを加え、デッキ構築とカードバトルのゲームに仕上げた野心的な作品。プレイヤーは様々な世界からキャラクターを集めて軍隊を編成し、自身の存亡をかけて他の世界に戦争に挑みます。

ゲームは自身の戦力を整えるデッキ構築フェイズと、他のプレイヤーとバトルを行う戦争フェイズのふたつの手順によって行われます。

まずはデッキ構築フェイズ。プレイヤーは、最初に10枚のカードのうち5枚を初期デッキ、5枚を手札に振り分けます。そして、2枚を手札に加え、1枚をデッキに入れ、もう1枚を捨て札に。部隊の色を揃えたり、数字を並べることで戦力が変化するうえ、カードごとにさまざまな特殊能力を持っているため、組み合わせにより多彩な戦術を実行可能。デッキ構築の腕とセンスが問われます。

これを何度か繰り返していくのですが、誰かが「オーダー」を宣言するとそこから同時プレイからターン制に代わり、やがて開戦を迎えます。

戦争フェイズでは、デッキ構築フェイズで作ったデッキでバトルを行います。プレイヤーは陣地と呼ばれる7スペース分のカードスペースでカードをプレイして戦闘力を算出、開戦したプレイヤーが他の全プレイヤーと戦争を行い、負けたプレイヤーはライフを喪失。これを最大4ラウンド、もしくは誰かがライフをすべて失うまで行なって、終了時点でライフの残数がもっとも多いプレイヤーが勝者となります。

デッキ構築フェイズでカードをドローし、取捨選択していく過程でキャラクターカードの色や数字を揃えていく感覚が麻雀に近いものがあります。ある程度の戦力が揃ったら早めに「オーダー」を宣言して開戦し、早期決着を狙うのか。それとも存分に軍隊を整えて総力戦を挑むのか。どこで開戦するかの見極めがシビアで、非常に悩ましいところ。没入感が高いフレーバーと美しいカードイラストも魅力の一作です。

ビルドウォー 概要】
メーカー:Rulemaker
プレイ人数:1~4人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:30分~

六華



※画像はJELLY JELLY STOREアークライトのサイトより

上下どちらでも使えるドミノタイルを並べて役を作る牌ゲーム

上下に別の絵柄が入ったドミノタイル状の牌6枚を組み合わせて、美しい花火(役)を作ることを目指すゲームです。

絵柄は3種類、それぞれ1~6の数字があり、同じ牌が2つずつ存在します。手番では、場にある裏向きもしくは表向きの牌をひとつ引いて加え、手牌からひとつ表向きで場に捨てます。これを繰り返し、誰かが役を作って上がるまで続けます。最後に必要な牌を自分で引くか、他人が捨てた際に上がり。もしくは、誰かの上がり牌で自分の手も完成するなら、そのときも上がりとなります。完成した役に応じた得点を受け取り、誰かが10点に到達したらその人の勝利です。

捨てられる牌は表向きなので、誰がどんな役を狙っているか、みんながいらないと考える牌が何か、といった情報が少しずつ分かってきます。牌は上下どちらの絵柄でも使えるので、状況に応じて臨機応変に狙う役を変えていく柔軟性が重要。流れを読み、うまく手牌を整えていくことができれば、上がりが近付いてくるはずです。

追加ルールカードの導入によって戦略や駆け引きを深化させることもできます。ルールや手順がシンプルで、基本役が3つしかないので覚えやすく、子供でもプレイ可能。見た目も楽しいタイトルです。

六華 概要】
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:~30分

レキシオ


※画像はLexio japanのサイトより

韓国で大ヒットした麻雀+大富豪+ポーカーの新感覚ゴーアウト

麻雀のような牌を使ってプレイするゴーアウトゲーム。最大5人までプレイ可能です。

プレイヤーは自分の手番に牌を場に出し、手の内の牌を減らしていきます。牌の出し方はトランプゲームの『大富豪』に近く、前のプレイヤーが出したものより数字とスート(色)が上位の牌しか出すことができません。また、最初に牌を出すプレイヤーは同じ数字の2枚組(ペア)、3枚組(トリプル)で出すことも可能で、このときは続くプレイヤーも同じ枚数の組み合わせで出さなければなりません。

ここまでは『大富豪』とほぼ同じなのですが、最初に牌を出すプレイヤーは特定の組み合わせの5枚で役を作って出すこともできます。このときの役は、例えば「5つの数字の連続(ストレート)」、「同じ色を5枚(フラッシュ)」「同じ色、かつ連続した数字の5枚(ストレートフラッシュ)」といったようにポーカーの役の概念で作るものとなっています。後続のプレイヤーは、出された役より強い役を出さねばなりません。

誰かが牌を出し切ったらラウンド終了。手の内に残った牌がそのままマイナス分となり、下位のプレイヤーは自分より牌が少ないプレイヤー全員に差分の得点チップを支払います。誰かのコインチップがゼロになったり、最大5ラウンドを行ったら手持ちのコインチップで順位を決めます。

手の内を入れ替えるプロセスがなく、配り切り・出し切りの完全なゴーアウト系ですが、牌を使ったプレイの手触りはまさに麻雀ライク。大富豪とポーカーを融合させて牌でプレイするという、ありそうでなかった新鮮さを持つゲームです。

なお、拡張ルールとして特殊効果を持つスペシャルカードを加えたプレイも可能。スペシャルカードはプレイ開始時にプレイヤーごと3枚ずつ配られ、1ラウンドに1枚だけ使用可能となります。いらない牌を1枚誰かに押し付けたり、指定した数字の牌を全プレイヤーに捨てさせるなど、その効果はさまざま。スペシャルカードを加えると、よりボードゲーム寄りのプレイ感になります。

レキシオ 概要】
メーカー:レキシオ・ジャパン
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳~
プレイ時間:約15~30分


いかがだったでしょうか。どのゲームも麻雀のエッセンスを取り入れつつ別のゲームへと昇華させており、ボードゲームをプレイするひとなら取っつきやすくなっているはずです。

麻雀と聞くとルールが難しいと思ったり、役や点計算が覚えられずに苦手意識を持っていたりする人もいるでしょうが、そのような方にこそ遊んでほしいと思います。これらのゲームを楽しいと感じたなら、本家の麻雀に挑戦してみても良いかもしれませんね。